薬膳を知る大切なポイント1
1)陰と陽
陰と陽の考え方は中国古来の哲学で、宇宙に存在するあらゆる事象を『陰』と『陽』に当てはめ、体質も『陰』と『陽』の大きく二つに分けられる。
この図は、『太極図』で『陰陽太極図』といい宇宙、森羅万象のすべてが陰陽の対立する要素で成立する様子を示し、それぞれの小さな円はは、『陰の中の陽』と『陽の中の陰』を示します。「陰」と「陽」はきっぱり分断されるものではないため曲線で描かれ、相対的で常に流動していることも表しています。
陰陽は天体、人体、性別、季節までも、陰と陽に分類します
季節を見てみると、春の4月頃から『陽』が増えていき、夏至に最も盛んになり、そこから秋分の10月にかけて『陽』が減っていき、秋分から『陰』が増えていき、冬至に満ちるとされるサイクルです。
陰にあてはまる性質
性別‥女性
天体…月
人体の位置…下半身、腹側
内臓…五臓
季節…秋、冬
味…酸、苦、鹹
陽にあてはまる性質
性別…男性
天体…太陽
人体の位置…上半身、背中側
内臓…五腑、(六腑)
季節…春、夏
味…辛、甘
などがあり、他にも表裏(表-陽 裏-陰)
明るい(陽)暗い(陰)とあらゆる分類があります
食物も陰のものと陽のものに分かられ、温める性質(陽)冷やす性質(陰)とも考えられています
この陰と陽がお互いに協力・抑制しあって『バランス』がとれている状態を、良い状態と考えます
2)五行説
五行の『五』は五つの元素のことで、『行』は動く、めぐる、という意味を表します
5種類の元素は人間の生活に不可欠な「木・火・土・金・水」の5つの概念で考えます
これらのバランスを変化させて、人体なら全体のバランスの取れた健康体を目指すということになります。方角、色彩、味覚、臓器、感情なども五行で、それぞれの要素が影響し合うと考えるのです。
五行は、木・火・土・金・水の各元素が順々に次の元素を生み出していくとすると『五行相生説』と木・火・土・金・水の各元素がそれぞれ次の元素にうち克ってゆくとする『五行相剋説』とがある
相生
木・火・土・金・水の五氣学が、互いに順応して、木が火を生じ、火が土を生じ、土が金を生じ、金が水を生じるという無限に循環する関係があります
相剋
相手を打ち滅ぼしていく関係にあります
木氣は土氣に勝ち、土氣は水氣に勝ち、水氣は火氣に勝ち、火氣は金氣に勝ち、金氣は木氣に勝つ関係にあります
3)五性
食べものの陰陽の性質を5つの段階に分けたもの
薬膳の考えの一つに食材が持つ、体を温めたり冷やしたりする性質があり、これを「五性」といいます。
温める力が強いものを「熱性」、弱いものを「温性」、温めも冷やしもしないものを「平性」、体の熱を取るものを「涼性」、熱を冷ます力が強いものを「寒性」としています。それぞれの季節に合わせ、これらの性質を知った上で調理すると、体調のバランスを取りやすくなります。
4)五味
薬膳では、体調に合った食材を「五味」のもつ機能を活かしながら取り入れて健康を目指します。味だけでなく食材の作用を示す薬膳の分類
します
「五味」は、「酸」「苦」「甘」「辛」「鹹(かん)」の5つから成り、それぞれ体への良い影響もあれば摂り過ぎると不調を起こすこともあるため、それぞれをバランスよく配合するとよい
五味のほかに「渋味」「淡味」という味があります。「渋味」は酸味の一種と考えられ「淡味」はほとんど味のないものとして分類されます